軟骨無発生症1A,1B,2 achondrogenesis (ACG)  (MIM 1A型#200600、 1B型#600972、2 型#200610)/軟骨低発生症hypochondrogenesis (HCH) (MIM#200610)  

この章は医療関係者を対象として記載していますので一般の方には少し文章は難解です。 

a.原因
 軟骨無発生症(achondrogenesis: ACG)は1A型(Houston-Harris型)、1B型(Fraccaro型)、2型(Langer-Saldino型)に分類される。以前はひとつの疾患の亜分類とされていたが、現在ではそれぞれ、原因遺伝子が異なる3つの独立疾患であり、軟骨無発生症という名称はX線所見が比較的類似した疾患の総称と位置づけられる。また軟骨低発生症(hypochondrogenesis: HCG)はACG 2と原因遺伝子を同じくする疾患であり、症状がやや軽度である。
ACG1A型は正確な頻度は不明であるが40,000分娩に1例程度とされる、まれな疾患である。原因遺伝子はthyroid receptor-interacting protein 11(Trip11)で、常染色体劣性遺伝(AR)と考えられる。ACG1B型は正確な頻度は不明であるが40,000分娩に1例程度とされる、まれな疾患である。原因遺伝子はsolute carrier family 26 (sulfate transporter), member 2 (SLC26A2)(従来はdiastrophic dysplasia sulfate transporter (DTDST) と呼ばれていた)geneの変異で、遺伝形式ARである。ACG2型とHCGは頻度は40,000~60,000分娩に1例程度とされるが、ACG 1AやACG 1Bよりは多い印象である。原因遺伝子は2型コラーゲンcollagen, type 2, alpha 1 (COL2A1) geneの変異で、ADであるが、罹患者は致死性であり次世代を残さないことから、発症はほぼ全例が突然変異である。

b.再発率
 ACG1A型と1B型はARであり、外見上は健常な保因者同士の両親から罹患児が25%、親と同じ保因者が50%、健常児が25%の割合で出生する。ACG2型とHCGはADであるが、患者は妊孕性がないので、健常な両親から突然変異として発症する。


c.臨床像
ACGの共通した胎児の特徴は妊娠20週以前からの著明な四肢短縮で、長幹骨は妊娠後期に至ってもほとんど伸長を示さない。妊娠30週頃から羊水過多を認めることがある。超音波検査で椎体の非骨化があれば決め手となる重要な所見である。新生児の臨床所見は、胎生期からの著しい四肢短縮と変形、骨化不全や骨形成不全、巨大頭蓋、胸郭低形成と腹部膨隆を示す。羊水過多を伴い、胎児水腫を示し、周産期致死性である。X線所見では、著明な椎体骨化不全と四肢短縮・変形である。ACGは椎体や恥骨の非骨化が共通した所見である。HCGは症状がやや軽度で頚椎の非骨化が特徴である。

d.遺伝カウンセリング
  ACG1A型と1B型はARであり、ACG2型とHCGはADであるので、X線診断により正しい診断を行う必要がある。
遺伝子診断はACG2型とHCGでは2型コラーゲン遺伝子で可能であるが、必ずしも変異がみつかるとは限らない。ACG1A型と1B型は技術的には可能であるが研究レベルである。