屈曲肢異形成症 campomelic dysplasia (CD) (MIM #114290)

この章は医療関係者を対象として記載していますので一般の方には少し文章は難解です。 

a.原因
 AD。ただし妊孕性は低いため、ほとんどの例は新生突然変異による孤発例である。原因遺伝子はSRY (sex determining region Y)-box 9 (SOX9)で、II型コラーゲンなどの軟骨特異的遺伝子の転写を誘導し,軟骨細胞への分化に重要な役割を示す。またSOX9は性分化にも関与している。発症頻度は不明であるが、まれな疾患である。

b.再発率
 ADであるが妊孕性が低いため、ほとんどは健常な両親から新生突然変異で発症する。同胞再発リスクは極めて低い。

c.臨床像
 新生児期には呼吸障害を示すため、周産期致死とされてきたが、実際には呼吸管理を行うことで長期生存例も多く報告されている。大腿骨や脛骨の弯曲が特徴的で、内反足を認めるが、長管骨の短縮は軽度である。下腿前面の皮膚の陥凹(skin dimple)を認める。特徴的な顔貌(眼間開離、鼻根部の陥凹、口蓋裂、小顎症など)を認める。しばしば性分化異常を伴う(46,XYで外性器が女性)。大腿骨の弯曲の所見は診断の決め手になるが、骨折を呈する骨形成不全症などとの鑑別が重要である。CPでは両側に弯曲が対称性に見られること、肋骨など他の長管骨に弯曲(骨折)の所見がないこと、頭蓋骨の骨化が正常で超音波のプローブによる圧迫で児頭が変形しないことなどが重要である。
X線所見で下肢の弯曲、両側内反尖足、肩甲骨や腓骨、恥骨の低形成が特徴的である。肋骨は11対であることが特徴であるが、12対のことも多い。
CDと同様の症状を呈して大腿骨の弯曲を伴わない、acampomelic campomelic dysplasia (ACD)という亜型もあるが、疾患概念は確立しておらず、多彩な症状を示す多くの病態がACDとみなされる傾向にある。

d.遺伝カウンセリング
 ADであるが、実際は散発例がほとんどであり、健常な両親から患児が出生した場合は、再発リスクは極めて低い。ただしまれではあるが性腺モザイクにより同胞に再発した例も報告されている。
 確定診断はX線検査で可能であるが、遺伝子検査も技術的には可能である。
 出生前診断は超音波検査で特徴的な大腿骨の弯曲を同定できれば診断可能であるが、胎児CTで大腿骨の弯曲や肩甲骨の低形成などが認められればより診断が確実である。